この研究チームのゴールは、角膜移植しか治療法がない水疱性角膜症に対して、点眼薬による新しい治療法を開発することです。小泉範子先生は「奥村先生や上野先生、角膜グループの先生方、同志社学生たちと基礎研究から臨床応用を目指した研究に取り組んでいます」と話します。
研究がスタートしたきっかけは「増殖しにくいヒト角膜内皮細胞の培養技術を開発するなかで、Rho キナーゼ阻害剤がヒト角膜内皮細胞を増殖させる作用を持つことがわかりました。2007 年の特許出願のときに夢の治療を話し合っていたなかから点眼薬開発プロジェクトが始まりました」(小泉範子客員教授)。
上野盛夫先生は「理化学研究所CDB笹井研究室でヒト胚性幹(ES)細胞研究をしていた際に見出した、Rho キナーゼ阻害剤のヒトES細胞の細胞死に対する抑制効果を、小泉範子先生・奥村直毅先生と共同で、その当時培養が極めて困難であったヒト角膜内皮細胞培養に応用し、ヒト角膜内皮細胞においてもRho キナーゼ阻害剤が細胞培養の高効率化に有効であることを確認したことがきっかけになりました」と話します。
奥村直毅先生は「大学院で角膜内皮の再生医療の研究をしておりました。研究を初めさせて頂くにあたり、木下教授には角膜内皮を目薬で治せるようなことを目指さないといけないと一番初めにお話いただいていました。Rho キナーゼ阻害剤が培養した角膜内皮細胞の増殖を促進することに気がついた時には、木下教授のお話を思い出しすぐに研究指導をして頂いていた小泉範子先生と相談して動物での研究に着手しました。Rhoキナーゼ阻害剤が培養した角膜内皮細胞の増殖を促進することを見出し、ウサギやサルの部分的角膜内皮障害モデルで点眼薬として投与することで角膜内皮が生体でも増えることを基礎研究で明らかにしました。また、角膜内皮障害患者さんを対象としたRho キナーゼ阻害剤点眼の臨床試験を開始しました」と振り返ります。








