
従来治療が不可能であった難治性角結膜疾患に対して、再生医療の技術を応用して、培養角膜上皮シート移植ならびに培養口腔粘膜上皮シート移植の開発を行っているのがこの研究グループです。
京都府立医科大学眼科で、培養角膜上皮シート移植を臨床実施したのは1999 年。その後、2002 年には世界で初めて自家培養口腔粘膜上皮シート移植に成功し、これまでに100 例以上での実績を積み重ねてきました。これらの角膜再生医療は、有用な治療法のない難治性角結膜疾患の予後向上を目指しており、一定の成果をあげてきました。
「小泉範子先生が培養角膜上皮シート移植を開発、その後、中村隆宏先生が培養口腔粘膜上皮シート移植を開発し、それらの成果を臨床に応用するために、手術の実施や主治医としての治療を行っていました。2007 年12 月に神戸の先端医療振興財団から共同で橋渡し研究をしていく話があり、それ以降、橋渡しに関わっています。役割は、手術の実施、2002 年以降2008 年までに実施された難治性角結膜疾患に対する培養口腔粘膜上皮シート移植難治性角結膜疾患に対する培養口腔粘膜上皮シート移植全症例のデータ回収と解析、厚生労働省ヒト幹への申請および先進医療の申請、研究費の獲得、多施設研究での摺り合せなどです」と説明する外園千恵講師。
「小泉範子先生がドイツへ留学されるにあたり、培養角膜上皮シート移植のプロジェクトの後任として大学院生であった僕が引き継ぐことになったのがきっかけです。その後、自分のオリジナルな研究を模索し、培養口腔粘膜上皮シート移植の開発を行いました」と中村隆宏先生。
「この研究の先駆けとなる眼表面再建治療に木下教授とともに携わり、そののち羊膜移植、培養角膜上皮移植、さらに培養口腔粘膜上皮移植へとの発展に携わりました。木下教授からご指導を受け始めた平成3 年からの課題でもあり、その発展形がこの研究テーマになっています」と稲富 勉学内講師は語ります。