研究をスタートしたきっかけについて米田一仁先生は「以前から臨床的に問題となっている加齢黄斑変性をこれまでの概念を覆すほどの極早期でとらえて、極早期に介入し治療することが必要な疾患と考え、羽室先生の病態に対する深い考察に感銘を受け、研究を開始しました。研究の中でも臨床検体を用いた部分の統括、計画立案により全体の方向性を決定しています」と語ります。
畑中宏樹先生は「網膜患者さんの手術や外来を行う中で、一線を越え手が出せない病態に度々遭遇し、『何とかならないか』という思いを強く持ったため」と語ります。畑中宏樹先生はグループの中で、加齢黄斑変性における免疫学的、分子生物学的観点からその首座となってい る網膜色素上皮細胞の恒常性破綻のメカニズム解明とその制御のための新たな治療法の開発、加齢黄斑変性に伴う網膜色素上皮細胞の線維性変化の抑制方法の開発と治療への応用などを担当しています。
山田潤先生は「角膜移植の移植免疫から始まり、羽室淳爾先生との巡り会い、アレルギー抑制、炎症抑制を経て、生活習慣病として慢性炎症として捉えたAMD を抑制できないかということにつながりました。グループ研究を立ち上げるところから着手して実施にも深くかかわっています」と説明します。
若手研究者らを大いに刺激した羽室淳爾先生は「網膜色素上皮細胞(RPE)の機能を、①マクロフアージとの間に形成される炎症増悪経路の視点、②補体活性化抑制因子( 補体活性化因子C3, C5, CFB, 補体活性化抑制因子CFH,CD46, CD55, CD59, Clusterin並びにCTRP6, CTRP5 など)産生破綻の視点、③酸化脂質など生活習慣病に係る代謝産物によるRPE 細胞変性の視点、④ RPE 細胞の線維化におけるTGFb+TNFa によるマトリックスプロテアーゼ(MMP)発現誘導の視点から解析し、可溶性miRNA やDNA の脱アセチル化を阻害する新規HDAC 阻害剤の医薬としての有用性を見出しています。ヒトRPE からの危険感知シグナルとして
産生される可溶性miR の分子種を同定するとともに産生される炎症性サイトカインとの対応付けを実施し、危険感知応答の新側面を明らかにしました。⑤①の経路の阻害のためにRPE の炎症性サイトカイン産生を阻害する新規化合物やマクロファージに選択的にアポトーシスを誘導する化合物の併用効果を検討しています。⑥新規な病態解析手法〔近赤外自
家蛍光解析〕を考案して、後眼部炎症性疾患と関連付けるべく臨床検体の活用によるPOC 確立を介しています。若い先生方とグループ討論で研究を進めています」と説明します。









